腕立て伏せでの各部位への負荷のかかり方と、ベンチプレスとの違いを考察していく。
腕立て伏せにおける大胸筋への負荷
基本の腕立て伏せで手のひらに掛かる負荷は最大で体重の約75%だという実験結果がある。https://www.nsca-hpc.jp/columns/20200410/
この結果から、典型的なプッシュアップを可動域すべて使って正しいテクニックで行うには、バーベルやダンベルを使ったベンチプレスで最低でも体重の75%の重量を持ち上げることができなければならないことになる。
例)体重80kgで約60kg。体重70kgで約53kg。体重60kgで約45kg。
ある研究によると体重約60kgの男のベンチプレスのmaxは約45kg なので、平均的な男子なら1回なら可動域すべて使って正しいテクニックで行う典型的な腕立て伏せを出来る。といえるだろう。
基本の腕立て伏せ
手幅足幅は肩幅。手をつく位置は肩の真下。体をまっすぐにしたままキープして胸が手の甲につくまで下ろす。元の体勢に戻る。
これが基本のフォームだが、そこまで深く下ろせる人は少ない。
腕立て伏せが効かないという人
上記の基本のフォームで20回でも出来れば胸筋がパンプしない人はいない。腕立て伏せは負荷が小さすぎて効果がないという人は腕立て伏せが圧倒的に浅い。
人体の構造上、体重の75%程度の負荷が手のひらにかかるので、きちんと実行すれば少なくともジャニーズでマッチョ扱いされるレベルの胸筋なら腕立て伏せだけで簡単に到達できる。当然厚い胸板も作れる。
ベンチプレスと腕立て伏せの負荷の違い
負荷のかかり方と大きさの違いを考察する。
腕立て伏せはボトムとトップで負荷が変わる。
ボトム(体を下ろした状態)では75.04±2.62%トップ(体を上げた状態)では69.16±2.83%の負荷がかかった。変化率は8.59 ± 3.77%
つまり、体の角度が急なボトムでは多くの負荷がかかり、トップでは体が起き上がって角度がゆるやかになる分負荷が小さくなるということだ。
これは、浅い腕立て伏せと深く下ろす腕立て伏せの難易度の違いを表している。
腕立て伏せのメリット
体をまっすぐ保つための脊柱やコアのトレーニングになる。器具がいらないため実践しやすい。手幅や足幅、足を置く位置などであらゆる角度から負荷をかけることが出来る。
筋トレの入門編であり、工夫次第ではどの段階においても活躍する種目だ。
デメリットはやはり高負荷をかけづらいところ。
腕立て伏せの負荷を高める方法
負荷を高めるために足を高い台に置くのもいいが、ある程度行くと肩への負荷が強くなる。
背中にプレートを置くのも自分ひとりでは無理だし、安全に行うのは難しい。
やはり腕立て伏せは大胸筋へ高負荷をかけるのに適していない。
それよりも、手幅や足の動きを足して動きのバリエーションを増やせるのが魅力だろう。
グラスホッパープッシュアップ
下半身を大きくひねる腕立て伏せ。
体幹の腹斜筋が刺激されるほか、体が傾くので胸筋が大きくストレッチされる。楽しい。
片手腕立て伏せ
究極の腕立て伏せ。足を大きく開いたり体をよじれば大して難しくはないが、手幅足幅を肩幅に開き、胸が手の甲につくまで下ろす片手腕立て伏せはとんでもない負荷になる。
胸筋もそうだが、それよりも肘や手首の腱、上腕三頭筋側頭、三角筋前部などの強化に適していることがポイントだ。
ベンチプレスは断裂の怪我が多い
体はベンチにべったりついているのでコアの負荷はかかりづらい。バーベルを使うので高負荷をかけやすいが、その分筋肉への負荷も大きいので、無理して高重量を扱わないようにする。
「大胸筋 断裂」で動画検索すればいくつかヒットするが、バチンと切れることがある。筋トレで比較的多い怪我なのでベンチプレスは慎重に行う。
ベンチプレスの平均重量
「週1回の大学授業における筋力トレーニングが筋力に与える影響」という研究によると、初心者のベンチプレスMAXの平均は、
男性:43.8kg(体重:59.2kg)
女性:21.8kg(体重:51.0kg)
ウェイトトレーニングなので負荷を自由に調整することが出来る。
胸板が厚いとみるからに筋肉がある感じがするのと、ベンチプレスの重量が力の強さの基準とされる傾向から、初心者から上級者まで大人気の種目となっている。
特に力のない女性や子供の場合はバーの20kgが挙げられないこともある。そういう場合はダンベルで実践するか、壁で腕立て伏せをするといい。
筋トレしているというと決まって聞かれるのが、「ベンチ何キロ?」。重量でイキろうと無理な重量に挑戦して怪我をする人が後を絶たない。
ベンチプレスのやり方
腕を肩幅よりも広く開き握る。息を吸いバーベルを胸まで下ろす。バーベルを挙上し、動きの最後で息を吐く。
重量を追わずに慎重に行えば、大胸筋の発達に非常に効果的。
ベンチプレスの負荷のかかり方
通常は大胸筋全体、小胸筋、上腕三頭筋、三角筋前部、前鋸筋、烏口腕筋が刺激される。
ブリッジを組む、パワーフォームだとまた負荷が変わる。大胸筋の腹側が刺激されやすく、背中を反らせる分背中の刺激は増えて腰への負担も増えがちなので慎重に行う。
腕立て伏せはトップで負荷がかかりづらい。大胸筋でいえば収縮しづらいと言える。反対にベンチプレスは運動開始から終了まで刺激がかかり続けるので最大収縮しやすく、筋肥大により効果的といえるだろう。
まとめ
冗長になってしまったが、典型的な腕立て伏せを真面目に実践すればなかなかの負荷がかかること。ベンチプレスは自分の力量にあった負荷を扱わないと怪我をしやすいことは覚えていただきたい。